FB工法の開発ストーリー
FB工法の裏に秘められた、開発者と開発にたずさわった人々の想いとは。
間取りや家族のライフスタイルというものは時代と共に変化するもの。
ただ、「想い」には時代や流行に影響されないものが重要であると信じています。
開発者の想いから見えてくる、「快適を中心とした住まいづくり」の意味。
検証から実用化までの道のりをご紹介します。

快適な家づくりへの道のり
結露問題から始まった挑戦
1977年、ホクシンハウスは創業されました。
当初、我々は断熱材としてグラスウールを使用していましたが、
あるお施主様からの声がきっかけで、新たな課題に向き合うこととなりました。
その声は「冬になると結露が起こる」というものでした。
問題を解決するため、私たちは迅速に行動しました。
調査の結果、天井や床の構造において断熱材がずれることで隙間が生じ、
これが冷たい外気が室内の壁に伝わり結露の原因となっていることが分かりました。
「お客様に満足していただく家づくり」をモットーに掲げる私たちにとって、結露問題は避けて通れない課題でした。
この問題を解決するため、我々は真剣に研究と開発に取り組む決意をしました。
お施主様からの声が導いたこの道のりは、本物の快適な住まいを追求するきっかけとなりました。

新しい工法の誕生
FB工法の挑戦と成果
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01 工法の出会い
研究・開発が本格化した際、3つの新しい工法に出会いました。
1つ目は、ビニール系素材を用いた内側全体を覆う工法。2つ目は、外部に断熱材を配置し全体を覆う外断熱工法。そして3つ目は、柱の外に板材を取り付け、内外の空気を制御する工法でした。 -
02 工法の評価と課題
初めはどの工法も画期的に思えたが、実施時に大きな違いが現れました。内断熱は断熱性が高いが、木の特性が活かせない。外断熱は省エネ効果があるが、コストや施工面で課題がある。エアサイクルは理論的に正しいが、施工が難しく結果が出にくいなどの課題が見つかりました。
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03 長期の研究と開発
各工法には長所短所があり、長期間の研究と開発が必要でした。通常業務の合間に試行錯誤を続ける日々。途中で困難があったが、工法の特徴を組み合わせて新たな工法を模索しました。
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04 FB工法の誕生
努力の末、FB工法の開発に成功しました。性能を証明するために実験棟を建設し性能実験を実施。寒冷条件下での温度・気密・換気の変化を記録し比較。FB工法が最も優れた性能を示しました。
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05 FB工法の特徴と成果
FB工法は施工が容易でコスト効果が高い。10年の歳月を経て、FB工法の開発に成功しました。
工法を磨き続ける
たゆまぬ努力と研究・開発
これらのデータに裏付けられて、開発から10年の歳月をかけ、ようやくFB工法での家づくりを本格的に開始しました。ただ研究開発とは「完成」したら終わりではありません。当時のFB工法は、暖房の熱源を居間に設置していたため、室内に対流が起きてしまうことや、各部屋のドアを開放する必要上、音やプライバシー面で悩ましい課題がまだ残されていたのです。課題を改善するために、施工先のお宅で実際にデータを取らせていただいたり、お客様には本当にたくさんの協力をいただきながら研究と改善を繰り返してきました。
その中、平成3年に期せずして地下室を希望されたT様邸で、地下室にFFストーブを設置することになりました。地下のストーブの暖気を床下、壁の中、天井裏に自然循環させ、輻射熱によって家全体を暖めるシステムに初めて取り組む機会に恵まれました。その時、同時に熱交換型換気システムも導入し、室内はもちろん家全体を深呼吸させる換気システムの確立にもチャレンジすることができました。
結果は、というと「大成功」。
このシステムによって、長年の課題の対流や音の問題はすべて解決されました。お客様の協力と諦めることなく研究を続けてきて報われた瞬間は今でも忘れられません。
この成功が大きなきっかけとなり、FB工法はその後、長野県内だけではなく県外のお客様からもご指名いただくなど、少しずつ認知されていくこととなりました。
この研究開発の過程により、FB工法の住宅を建てていただいたお施主様には、現在でも信頼の証しとして、建物の断熱性能・気密性能・換気流量を測定し、住まいの“成績表”としてお渡ししています。
このような試行錯誤の結果、FB工法は効果的な住宅工法として誕生しました。