Vol.26春号
野口 大輔さん【岡谷市】

若い夫婦が勝ち取った「家族の青春」を楽しむ家

岡谷市の野口大輔さんがホクシンハウスで新築したお宅が、2013年の地域住宅計画奨励賞<地域住宅計画推進協議会主催>を受賞しました。日当りの悪い立地をものともせず、熱効率がよく明るく快適な住宅であることが評価されたものです。28歳の若さで、家族のために新築を成し遂げた野口さん。その家づくりストーリーには、若いファミリーへのヒントが満載です。

日当たりが悪くても 明るく、暖かく、省エネ

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取材は3月下旬。そろそろ草も萌え出す時期というのに、野口さんの家の庭には雪かきをして積み上げた雪がそのまま残っています。しかし、出迎えてくれた野口さんは半袖姿。
岡谷市内を一望できる高台に位置しますが、土地の起伏と方角の関係でこの家の日当たりはいまひとつ。外観を見れば、大きな屋根を持つのにソーラーパネルは部分的に設置され、そのそばに天窓。じつはこのあたりにしか、十分な日照が得られないため、それを活かすためにこんな形になったのです。
室内は野口さんの半袖姿が示すように、心地よい暖かさ。2012年1月に入居して3度目の冬を越しましたが、家中どこも寒さ知らずの快適さ。家族が過ごすLDは、天窓のおかげで明るく開放感があります。
気になる光熱費のほうは、延床約37坪のオール電化住宅で、1年分をならしてみれば、月約5,000円ほど。このランニングコストは秀逸。室温とコストのデータを正確に記録しており、地域住宅計画賞にエントリーするのもスムーズでした。
同賞は2006年に始まり2013年が8回目。地域の環境や住文化などを大切にしながら創意と工夫による住まいづくり・まちづくりを発掘し、その功績をたたえることにより、我が国において真に豊かな居住空間を実現することを目的に創設されたもの。野口さんのお宅は、同賞のなかでも「自立循環型住宅部門」で、住み手の参加のもと、省エネルギー効果を具現している模範と評価されました。
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25歳で購入した中古住宅は 想像以上の寒さ

大手製造業にお勤めの野口さんが、ここに中古住宅を買ったのは25歳のとき。今の奥様との結婚を意識するようになり、新居にアパートを借りるのでは家賃がもったいないと結婚前に購入。
茅野の山あいの地に育ったので、高台の立地は好ましく、急坂を上がる細いアクセス道路も気になりませんでした。日照不足も「安く家が買えるなら、まあいいか」。 見た目はきれいにリフォームしてあったものの、結婚し、二人で実際に住んでみるとその寒さは想像以上。 「いつかはお金を貯めて、暖かい家に建て替えよう。それは10年後くらいかな」と思いつつ、住宅展示場をぽつぽつと巡り始めました。なかでも、ホクシンハウスを気に入り、ホクシンハウス担当者との付き合いが始まります。
「すぐに建てるわけではないし、結婚したばかりの野口さんですから、ゆっくり子育て環境やライフスタイルの実例を見て、家のことを考えていただけばいい」と、ホクシンハウス担当の慶本さんは野口さんをホクシンのお宅見学に案内します。その数なんと10軒にも上りました。  だけど、やっぱり家に戻れば寒い。しかも、つわりのため奥様が里帰りして1カ月、自宅に戻ってみれば、6畳間の畳にびっしりとカビ・・・。
これから子供が生まれるというのに、これでは。危機感を抱いた野口さんは、慶本さんに背中を押され、思い切って銀行に相談。融資を受けられる金額が決まったところで、新築が具体化していきます。

夫婦して、床や家具を塗装 手を掛けて家をつくる

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「資金が限られていますから、できることできないことをはっきりさせて、あとは工夫あるのみ」の家づくりが始まりました。
勾配天井にして空間は広々させながら、家自体の高さは60cm以上低くすることで建材を節約。これは隣家の日当たりへの配慮にもなります。間取りは大きく、ドアや仕切りは極力なくし、2階は16畳大の空間のまま。勝手口は作らず、キッチンから玄関の側面につながります。家具は大工仕事の造りつけで、壁や家具など共通部材にして無駄をなくしました。比較的安価な杉材をダークブラウンの焼杉調に塗っていますが、それが古民家風の統一感ある雰囲気を醸し出しています。端材で作ったポストは、玄関のアクセントになっていて、とても端材には見えません。高価なシステムキッチンは見送り、木とタイルで作りつけたキッチンは、使い勝手がよくて若い家族らしい雰囲気十分です。
実はこのお宅を手掛けた棟梁は、野口さんのご指名。ホクシンユーザーのお宅見学をしたときに出会った棟梁の、その技とセンスにほれ込んだのです。
ホクシンハウス担当者の慶本さんは「この家は野口さんが勝ち取った家です」と言います。熱心に打ち合わせをし、現場に通う野口さんと仲よくなってしまい、棟梁も他の職人も、限られた予算はわかっていても、いいものを提案してしまうのだとか。たとえば、古材をひいて作った味のあるテーブルと座卓。たまたま他の現場で出た古材を野口さんに提案したもので、費用はほぼ、ひき代だけ。そんな職人の心意気を汲んで、野口さんも「出来ることはお手伝いさせてもらいたい」。
子どものために調湿効果のある漆喰の壁にしましたが、これは少々高価。予算オーバーのため、寝室の壁は野口さん自ら空気清浄塗料を塗りました。さらに野口さんはほぼ毎日現場を訪れて建具や床の塗装を行い、夜勤明けに棟梁より早く現場に来ることも。少々ムラになったところもありますが、それがまた楽しい思い出です。
工期は5カ月間。野口さんも奥様も「工事が終わり、慶本さんや職人さんたちと会えなくなるのが淋しかった」と言います。 

必要なのは 今、子育てを楽しむ家

子育てをすでに終えた人なら誰しも、なにかしらの後悔があるのではないでしょうか。たとえば、時間やお金、暮らし方をもっと子育てを楽しむことに使いたかったなどと。
人生のなかで、子育てに手が掛かる期間はせいぜい15年。これが家族の青春ともいえる貴重な時間ですが、まだ蓄えも少なく、不満足な住環境のなかで我慢して過ごす方も少なくないでしょう。まして未婚化晩婚化の進む現代では、野口さんのような事例は大きな希望ではないでしょうか。省エネ、ローコスト、しかも自分たちらしく子育てを楽しみ、暮らしを楽しむライフスタイルです。  野口さん夫婦は、アウトドア派。特に冬は二人揃ってスノーボードを楽しみます。3歳の長男・徹平くんにもそり遊びをさせて、雪とスピードに慣れさせているのだとか。
野口さんは料理も趣味のひとつで、イタリアンが得意。「うまいかどうかは別ですけど…」と笑い、庭にピザ窯を作ろうとして奥様を説得中。薄紅色のタイル張りのアイランドキッチンは、夫婦仲良く料理する場でもあります。
もちろん、ママ友、ボード友が訪れるのはしょっちゅう。キッチンのテーブルと畳フロアの座卓は高さが合わせてありますから、二つを寄せれば、10人は軽く一つの食卓を囲むことができます。  2階の階段上には小さな扉と鍵。これを締めれば、ワンフロアの2階全体が子どもたちが遊べるフリースペースになります。吹き抜けを通して2階の様子が手に取るようにわかり、階下の親たちは安心して飲んだりおしゃべりしたり。
資金を貯めているうちに「家族の青春時代」を逃してしまうことなく、今、子育てを楽しむ家をゲットした野口さん。3歳の長男に加え、今年秋には二人目のお子さんが生まれる予定です。 
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