Vol.27夏号
田嶋陽子さん【軽井沢の家】

女性も自分の家を持つと、自由になれます。 結婚しようとしまいと、自分らしい人生を謳歌できますよ

フェミニズム(女性学)の第一人者で、オピニオンリーダーとしてもマスコミ等で活躍する田嶋陽子さん。昨年、田嶋さんは軽井沢にホクシンハウスの自宅を新築しました。5軒目の新築であり、大好きな軽井沢に住んで30年、やっと理想の家を手に入れたといいます。田嶋さんの家づくり論をホクシンハウス社長の相沢英晴がうかがいます。

軽井沢に戻れたから 生き延びられた

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(相澤)東京で仕事をされていても、週末は必ず軽井沢のお宅に戻られるそうですね。
(田嶋)はい、軽井沢は命の恩人のようなものです。疲れ果てて這うように軽井沢に帰ると、肩からハンガーが外れていくような解放感が味わえます。テレビに出るようになって収録で嫌な思いをしても、週末は必ず軽井沢に帰って慰められていたから、何とかここまで生き延びられたと感謝しています。
およそ40年前、テニスをしに来たのが軽井沢との出会いです。緑豊かな自然のなかで懐かしさ、居心地の良さを感じたんです。イギリスに留学し、帰国して法政大学で教べんを取るようになったころのことです。軽井沢を避暑地として発見したのが、イギリス人宣教師だそうですから、気候が似ているのでしょうね。
大好きな軽井沢に住みたいとコツコツ頭金を貯めて、10年後に夢を実現。それから30年、東京と軽井沢を往復しながら暮らしています。
(相澤)今、ホクシンのお宅の住み心地はいかがでしょうか。
(田嶋)このふわっとやわらかな暖かさは素晴らしいですね。元の家も私にとっては天国でしたし、リフォームも2度してきました。たまたま隣地が手に入り、書を始めたこともあって広いアトリエと書庫が必要になって新築を考えたのです。苔むす軽井沢で、カビの生えないアトリエを、ということでホクシンハウスに辿りついたわけですが、これからの自分の住まいはホクシンハウス、旧宅をアトリエにしています。
軽井沢は夏でも底冷えがして湿気も強いので、床暖房が必要です。冬の寒さは厳しく、今度は暖房で乾燥し過ぎる。適切な湿度を保持するために、8台の加湿器に毎日水を3回は入れるという感じです。特に不満もなく過ごしていたのですが、ホクシンの家ではそんな苦労がウソのようです。
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職人仕事を大事にする ホクシンの家づくりを実感

(相澤)工事中は、うちの職人たちは先生がとてもフレンドリーにしてくださったと喜んでいます。打ち上げパーティーまでしていただいて。
(田嶋)驚いたのは職人さんたちが比較的お若いことと、楽しそうに仕事をしていること。私は今まで5軒の家を建てましたがこんなことは初めてです。遠目に見ていても、和やかな人間関係のなかで、生きがいを持って仕事をしていることが伝わってきました。職人仕事が減っていくなか、こういう職場環境は素晴らしいと思います。その時私は、きっといい家が出来ると直感しました。
基礎を打っているとき、近所の人が「すごくていねいな仕事ですね」と誉めてくれました。普通、隣に家が建てば腹が立っても誉めはしないものでしょ。だから、うれしかったですね。
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カタツムリでさえ 自分の家を持っている

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(相澤)女性にとって、家づくりはどのように考えたらいいでしょうか。
(田嶋)カタツムリでさえ、自分の家を持っています。自分の殻は自分で手に入れましょうよ。女性だって、大人になって働くようになったら頭金を貯めて自分の家を持ったほうがいいです。
私は2度目の英国留学のとき、イギリス人の恋人の家に住んでいました。私の部屋があってそこで論文を書いていたのですが彼はお茶を飲もう、散歩をしようと話し掛けてくる。それは好意なんですけど、心置きなく仕事がしたいと思って私は彼の家を出ました。恋人より論文だったんですね。そのときすでに、立川に自宅を持っていて帰国してそこに帰ったとき、自分の家を持っていることがどんなに自分を自由にしてくれるかと思いました。私には戦争中の疎開体験があり、人の家で人に食べさせてもらうことの辛さが身に染みていたからでしょうか。
人間は基本は一人です。カタツムリのように自前の家を持ち、その上で結婚してもいいし、しなくてもいい。私は「パンツとパン」とよく言います。結婚しても男性は自分で家事をして育児もすべきですし、女性は自分のお金は自分で稼げる環境が必要です。
結婚は女性にタダ働きを求める、女性には不利な部分があると思います。
(相澤)自分は、結婚は共同生活だと思っています。互いの権利を主張することより互いの自立を尊重し合える暮らしが出来たらと考えています。

能力を発揮してこそ 女性は輝く

(相澤)子育てで女性が職場を離れるのは女性の自立において、リスクが大きいのではないでしょうか。
(田嶋)家庭に入った女性は2億円もソンします。大卒女性が働き続けた場合の生涯賃金が約2億8500万円、途中で退職し、あとで夫の扶養の範囲でパートなどで働くと生涯賃金は4800万円という数字が出ています。おごってもらえるから女は得だ、などと言いますが、人生丸ごと大損してるわけです。お金がすべてではありませんが、なにより、その人の能力が発揮されているときこそ、人は輝いているんです。女の人は結婚しても仕事を辞めてはいけません。もっとも、社会ともども女性が働き続けられるような環境を整えていくべきです。
(相澤)うちの会社は、女性が働き続けやすい模範になろうと思っています。強い商品力と時代に沿った正しい経営に努めています。これからは奥さんも働かなければ、いい家造りは難しい時代です。
(田嶋)それはそうですね。女性はチャンスを与えられれば男性と同じように優秀です。たとえば迷子になったお年寄りを見守るGPS。これをどうお年寄りに着けるか。靴に着けた。靴を履かずに外出する人はいませんから。靴に着目したのは女性です。女性の観察眼は鋭いですから、それをどんどん生かして収益を上げていただきたい。全女性がその気になったら、日本の経済・産業ももう少し変わってくるのではないでょうか。だいたい世界の中でも日本は人権意識が低く、女性の社会的地位が低過ぎます。135カ国中105位ですよ。
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好きな男の子どもを 何人でも生み育てられる社会に

(相澤)女性に向けて、メッセージをいただけますか。
(田嶋)今、私は5軒めでやっと満足のいく家ができました。それはホクシンの暖かい家というのが大きいですが、今までは、結婚したら、子どもが生まれたらという不確定要素がどこかにあって、本当に自分の暮らし方が定まった家ではなかったのかもしれません。
そもそも人生はどこでどう変わるかわかりませんから、男の人に頼って自分の人生を作っていこうという発想はやめたほうがいい。「自分はこういう人生を生きたい」と自立的な夢を持って生き、そのなかに恋愛も結婚も子育てもあっていいし、なくてもいい。人間は自由なんです。女性ももっと自由を大事にしましょうよ。どんな形であれ、心から満足して生きてほしいと思います。
(相澤)人それぞれの生き方が大切なんですね。結婚しない若い人も増えてきました。
(田嶋)結婚しないで子どもを産む女性も増えています。こんど民法が改正されて、婚外子の相続差別が撤廃されましたが、婚外子も婚内子も区別しないで、きちんと国が保護し奨励していくことです。そうすれば少子化は止まります。諸外国はもうそうなっています。産む・産まないは、女性の自由。どんな家族を作るかは国が押し付けることではなく一人一人の自由なんです。
イギリスでは、子ども3人の父親が全員違って、しかもその3人の父親が同じ日に子供に会いに集まってくるという私の友人のケースもあって、珍しくないんです。私ももう少し若かったら、父親の違う子どもを5人くらい生んで育ててみたかったと思います。
(相澤)今日はお忙しいなか、ますます輝く女性のために、貴重なお話をいただき、大変ありがとうございます。今後もホクシンハウスのユーザー様として、末永くお付き合いをお願いします。
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【プロフィール】田嶋陽子(たじま・ようこ)

元法政大学教授。元参議院議員。英文学者。女性学研究者。フェミニズム(女性学)の第一人者として、またオピニオンリーダーとしてマスコミなどで活躍。シャンソン歌手としても各地でライブ出演中。書にも造詣が深く個展に向けて制作を続けている。「愛という名の支配」「ヒロインはなぜ殺されるのか」など著書多数。