Vol.9新年号
北村さん【中野市】

「掃除を極めます」を実践して現場の安全を守り、信頼を勝ち得る

ホクシンハウスの協力業者でつくる北友会は、職人として技術を磨くだけでなく、マナーや応対など、ともすれば軽視されがちな面でも切磋琢磨を続けています。その北友会の要となっているのが、会長の北村公吉さん(北村高圧株式会社代表取締役)です。同社では、安全管理のために清掃や朝のラジオ体操・ストレッチに努める一方、社会貢献として地域の美化を続けています。

トイレを見れば会社の善し悪しがわかる

vol9_ph01
平成20年度21年度と2年続けて、北友会は「掃除を極めます」を安全目標に掲げています。北村高圧では、その具体的な実践として、まず社屋からキレイにしようと、全員でローテーションを組んで事務所からトイレに至るまできちんと清掃。北村公吉さんは「トイレを見ればその会社の善し悪しがわかる」と語ります。
現場のトイレ管理は、現場での作業時間の長い大工職に頼りがちですが、「うちでやろうじゃないか」。屋根という一部ではなく現場全体への心配りがしのばれます。
社員は全員が「マイほうき」を持ち、自社工場内はもちろん、現場やその周辺の掃除に使用。北村さんは「屋根の仕事は暑さ寒さに直接さらされながら、高いところで働きます。それでいて、屋根は長期の耐久性を要求されるので緻密な仕事をしなくてはなりません。なによりも、安全が基本であり、そのために清掃、整理整頓を徹底させているのです」と話します。

事故防止、けがや故障予防にラジオ体操とストレッチ

安全管理という点では、ラジオ体操とストレッチを平成9年から毎朝、始業前に全社員揃って続けています。高所で体を使う重労働だけに、体を十分にほぐすことが事故やけがの予防につながるのです。
「万が一のことがあれば、本人が辛いだけでなく、周りに大きな迷惑をかける。それを思えば体操一つにも真剣になりますよ」
そのおかげか、職業病ともいえる腰痛や膝痛がぐっと少なくなっているそうです。
こうした会社を上げての努力が認められ、平成17年にはラジオ体操優良表彰を受賞しています。これは、ラジオ体操の普及、奨励に貢献する団体を表彰する「ラジオ体操優良団体等信越地方表彰」の県表彰に選ばれたもので、日本郵政公社(現・かんぽ生命保険)、NHK、全国ラジオ体操連盟が主催しています。
会社が休みの日も、北村さんはラジオ体操を行い、標高差300メートルある近所の山道を毎日1時間程度は歩いて健康増進を図っています。
vol9_ph02

全国技能グランプリへ出場 瓦技能士は県下最多

vol9_ph03
北村高圧の社員は12人。そのうち11人が瓦技能士の資格を持つというのは、同業社のなかで県下最多です。
「ホクシンハウスの相沢社長は、『職人であるなら技能を極めよ』と言われます。特に瓦葺き職人は一人前になるのに10年はかかるからじっくり人を育ててきました」(北村さん)
特に2009年度はうれしいことがありました。瓦葺き技能協議会の1級(技能士)の部で社員の市川雄一さんが優勝。県代表として、全国大会「技能グランプリ選手権」への出場権を獲得しました。2年に一度開かれる全国大会は、2011年に開催予定で、市川さんの活躍が期待されます。過去にも北村高圧から全国大会に出場した社員がおり、2人目の出場者を出すというのは技術力の高さを物語っています。
「市川は野沢温泉村の出身。実はノルディック複合の元選手で、荻原健司選手らとオリンピックを目指していました。惜しくも夢には届かなかったけれど、縁あって当社に来てくれました。やはりアスリートは集中力や努力の仕方が違いますね。めきめき腕を上げているのがわかります」(北村さん)
 また、北村高圧は瓦や屋根だけでなく、太陽光発電の設備工事を一貫して施工することができます。昨年、電力会社による余剰電力買い取り価格が従来の2倍になり、太陽光発電設備設置の需要が急速に高まるなか、北村高圧は頼れる存在です。

vol9_ph09
vol9_ph04

100年前の祖父の仕事に出会う

北村高圧は大正11年の創業。戦前は高圧セメント瓦の製造も行っていたことから、社名に高圧の文字が入っています。社長の北村さんは3代目で、大学で建築を学び、建築事務所での修業を経て一級建築士の資格を取りました。一級技能士、屋根診断技士でもあります。今、4代目となる子息が大学の建築学科に籍を置いて勉強中というのも頼もしい限りです。
昨年、中野市草間の龍徳寺の屋根の葺き替えを担当しました。その鬼瓦の中の書付に、北村家の屋号とともに、葺き士として北村亮太郎の名が記されていました。亮太郎は北村さんの祖父にあたります。「昔の技術ながら結構立派に葺きあがり、壊れも少ない。100年ほど前のまだ30代の祖父の仕事に、こうして出会えたのはうれしかったです。瓦職人ならではでしょうか」と北村さんは話し、お寺さんの許しを得て一夜、名入りの書付をお借りして仏壇に供えました。
vol9_ph05

景観に配慮した社屋 雑草除去のボランティア活動

vol9_ph06
北村高圧のある中野市東山一帯は、東山公園として整備され、観光道路も通っています。豪族高梨氏の山城とされる城跡や史跡が点在し、桜と紅葉の名所として親しまれている場所です。北村高圧では、観光道路に面した法面のつる草を除去したり、桜の周辺の草刈りや苗木の植樹を行って地域の環境美化に貢献しています。一般住民には難しい急傾斜地の草刈りに、高所作業の技術を発揮できるのも同社ならではです。
17年前に新築した社屋(作業場)は、大きな養蚕農家のような美しい外観にしました。あたりには由緒ある東山にふさわしい風情が漂います。建設業の作業場はともすれば殺風景、機能優先になりがちですが、あえて景観に配慮していることからも北村高圧の志の高さが伝わってきました。
vol9_ph07

父親が残してくれた秋田杉などで建てた自宅も景観に合う

社屋から道路を挟んで向かい側にある北村さんの自宅(ホクシンハウスで建築)は本格的な和風建築であり今年で10年目を迎えますが、その建築には様々な想いが込められています。北村高圧の前社長であるお父様が自宅を建てるため、十数年にわたり優れた建築材を買い求め、乾燥させ保存していたのです。銘木である秋田杉もその一つです。しかしお父様は建築を待たずして亡くなられてしまいました。北村さんはお父様の形見とも言えるそれらの建築材を使って遂に自宅を造り、ご意思を継いだのでした。とても大きな家ですが北村さんは「ホクシンハウスだからこそ出来た、家中暖かく、とても快適な家で満足して暮らしています」と語っています。
vol9_ph08