ポンちゃん通信 Vol.28秋号

2007年10月31日発行
家づくり現場リポート[手塚邸]の巻
若い二世帯同居を暖かく包み込む和の情緒をたたえたなごみの家
 岡谷市の古厩(ふるまや)さんのお宅は、今や少ない生活共有型の二世帯住宅です。50歳代の親世帯と新婚2年目の子世帯が、台所・玄関・浴室を共有しています。新築の際にも、あえて生活を分離するすることは考えず、お互いの世帯が相手を思いやりながらの家づくりでした。ここに関わったホクシンのスタッフもお施主様のへの配慮、ご近所への配慮を忘れず、心の通い合う仕事をさせていただいたと言います。お施主様の古厩さんご一家はもちろん、関わったスタッフまでが満足感のある思い出深い家ができました。
東京出身の夫婦 ホクシンの家の暖かさを実感
手塚さんご家族写真
 古厩さんのお宅は築40年以上になる旧宅を建て替えての新築です。実はご主人の実姉ご夫婦がホクシンハウスのお施主様OB。とはいっても、20年以上も前、まだホクシンが在来工法で家づくりをしていた頃のこと。「一生のおつきあい」としてアフターフォローに伺ううちに、「結露に困っている」事を知ります。これを解決しようと、相澤社長を中心に試行錯誤を重ねて考案したのが、高気密高断熱仕様で、壁の中に空気を巡回させるFB工法です。その後も、ホクシンとのおつき合いは続き、今では、現場の残材整理を手伝っていただく仲。
 ホクシンハウスの暖かさを常々聞いていた古厩さんは、家を建てるならホクシンという思いがあり、一方で近い親戚が工務店を営んでもいました。「家は一生もの。家を建てるならたくさんの家を見て納得して決めた方がいい。」
 この親戚にアドバイスされ、先入観を棄てて新たに展示場巡りを開始。2年前に結婚したばかりで、旧宅で古厩さん夫婦と同居していた長男夫婦も、若い視点で家づくりを研究しはじめました。
 岡村真由美さんの家(須坂オープンハウス)には、特に何度も行ってみました。その暖かさや機能性を体感し、そこに住む岡村さんの「住めば住むほどよさがわかる」という言葉が胸に響きます。
「ホクシンの家が身体にいいから、ここに決めよう」そう決断したのは、長男夫婦。古厩さんの奥様は、10年ほど前から右手の神経を傷め、特に寒い時には辛い痛みがはしります。息子さんがお母様を気遣っての決断でした。すっかり岡村さんの家が気に入り、古厩さんのお宅は「岡村さんの家の和風バージョン」というオーダーとなります。
イエロー系の壁が明るくモダンな外観。2棟が互いを引き立てあう。

義両親、伯母、実母を看取り21年間の介護をやり抜いて
  古厩さんのお宅は、共有スペースと親世帯居室のある1階はバリアフリー仕様になっています。広い廊下幅、和室にも段差はなく、トイレや浴室も車椅子が入ったり介助者が付きそうのに十分な広さです。洗面コーナーは車椅子でも使えるように、下部に空間を設けています。室温の面でもバリアフリーであり、脳卒中の引き金になりかねない温度差がないことはホクシンハウスなら言うまでもありません。
「できるだけ最後まで人の手を借りないで 暮らせるように。介護が必要になったときには、できるだけ介護者も楽なように。」という奥様の切実な願いがこめられています。奥様には長い介護歴があり、ご主人の両親を看取っただけでなく、義父の姉にあたる伯母を看取っています。二世帯に加え、71歳で脳梗塞による半身不随になった伯母が同居していました。この伯母を実に21年間、奥様は介護します。「私は、結婚前に看護士をしていましたから。」屈託なく微笑む奥様ですが、辛いことは多かったはず。
「私ひとりで介護を背負いこんでいたら、できません。家族が気持ちの面で助けになってくれたから、最後まで看させていただくことができました。

たくさんの愛情を受けてやさしい心が育つ
  「介護や同居というと苦労に思う方もあるかもしれませんが、息子が気持ちのやさしい人間に育ってくれたのも、小さいときからたくさんの大人の愛情をいっぱい受けたおかげだと思います。」
  両親のほか3人のお年寄りから、可愛がられて育ったご長男。若い男性には珍しく、高齢者や病人をいとわず、自然体で接することのできる方なのだとか。そのご長男が見初めたお嫁さんは、今時の若い女性には珍しく、結婚当初から家族に溶け込み同居しています。
 いまや二世帯同居の主流は、玄関や水周りが 別の生活分離型、二軒が上下か左右に並んでいるだけというスタイルが多いのですが、今回の建て替え新築時にも旧宅と同じ共有型としました。
 ひとつしかないキッチンの仕様は、「これからより長く使う若い人に任せました。」と奥様。また、物干場のある二階のベランダには、子世帯の寝室や居間を通らなくても行けるよう廊下から直結とするなど、細やかな配慮が感じられます。

南の開口部から光が入り、清々しい雰囲気の手塚禎典さんのお宅。


お施主様は一生ここで暮らすのだから施工中もご近所への配慮が大事
  古厩さんのご主人は、「感じのいい大工さんだねえ」と、施工中もご近所の評判が良かったことを喜んでいます。古厩邸を担当した小松棟梁は、「家は近所に迷惑をかけて建てるのだから、施工中は、心配りしないと」といいます。施工中は音も埃もゼロにはできませんし、資材搬入車の往来もあります。棟梁はそれを踏まえて、近所の人と顔が合えば挨拶し、興味をもって見る人があれば、招き入れて現場を案内しています。
「工事は一時だけれど、お施主様は一生ここで暮らすのだから。お施主様の肩身が狭くなるようなことはできません。 ご近所はいい方ばかりで…。お施主様が普段からよいご近所づきあいをされているのがわかりますよ」(小松棟梁)
2階への階段はLDから続くリビング階段。子供たちが2階の個室を使うようになっても、親子が顔を合わす機会が多い(手塚正雄さん宅)

着工を延期して悔いのない介護を
 古厩さんは当初、あまり現場へ行ってはいけないものと自制していましが、ある時、棟梁から「自分たちの仕事を見てもらった方が張り合いです。」と言われ、遠慮せず、毎日のように現場へ。ご長男も仕事帰りには必ず現場へ立ち寄るようになり、小松棟梁の長男の一男さんと意気投合。階段まわりの壁にスリットを入れると、将来、子供がオモチャをおとす可能性があるからやめよう、壁にニッチを設けてアクセントにしてはどうかなど、現場ならではの細かな打ち合わせが進みます。クローゼットの中の棚板や洋服を掛けるパイプの位置に至るまで、配慮の行き届いたものになりました。
「息子は本当に喜んでいます。若い人達同士がコミュニケーションして、満足のいくものができていく。嬉しかったですね。」そう語る奥様が一番感謝してくださるのは、工期を一年延ばすことができたこと。着工を間近にした時期になって、奥様のお母様の体調がすぐれず、完成後の新居に住んでいただくには時間が残されていないことがわかりました。事情を知ったホクシンハウスでは、「この世のたった一人残った親御さん(お父様は既に逝去)ですから、悔いのないようにしてください。」奥様はお母様を旧宅へ引き取り、手を尽くした介護の末に看送ることができ、その後に着工となりました。
 今、古厩さんの新居では以前と変わらない和やかな暮らしが始まっています。いずれ、新しい世代が誕生し、この暖かな家で育まれていくことでしょう。
 二世帯のご家族が暖かで快適な暮らしをされている古厩さんだからこそ、ホクシンハウスの家の快適さがよくわかり、古厩さんから話を聞いた何人かの方が家を見学に見えているそうです。古厩さんは、須坂のようなオープンハウスまではできないとしても、この岡谷や諏訪の地域で、このような快適な家をもっと知ってもらい、多くの人に広められれば、と仰っています。