北九州出身の医師、西村誠さん(62歳)は95年1月、東京から妻の悦子さん(60歳)の実家がある長野県に移り住んだ。都会暮らしが性に合わず、緑に囲まれた田舎で暮らしたいとの願望を実現させた。現在は、小諸市内の病院に勤務。東御市の自宅では、指で作った輪が開きやすいかどうかで病気の有無などを調べられる自然療法「O-リングテスト」を用いた自由療法も予約制で手がけている。
公園の只中にある西村邸
西村さんは、旧小県郡東部町のアパートから田舎暮らしをスタート。97年に現在の東御市八重原(旧北御牧村)に別荘風の家を建てた。自宅は、旧北御牧村が八重原台地に造成した白樺池住宅団地の一角にある。周囲は、明神池をシンボルとした芸術むら公園として整備され、広大な芝生の広場とカラマツや広葉樹の林が調和し、日本離れした欧風な様相を呈している。公園内には、明神池のほとりに八重原温泉「明神館」もあり、地域の重要な観光施設としてにぎわいをみせるところでもある。
浅間山はじめ素晴らしい眺め
西村さんは最初、旧北御牧村内の千曲川沿いの土地を購入したが、北向きで山の圧迫感があるからと、現在の場所に土地を買い直した。西村さんの自宅の周りは、八重原台地の天辺に位置し、周囲にさえぎるものがない。南にはアスピーテ型の蓼科山、東には浅間山と東部湯の丸山、西には美ヶ原と2000メートル級の山々が見える風向明媚な場所。夜には満天の星空も楽しめる。芸術村には、彫刻家、建築家、料理研究家らが田舎暮らしを満喫している。
落ち葉を踏みしめる感触
「地方の緑の多いところに住みたかった。都会は、緑が少なく空気が汚れている。医師として勉強するには都会の方が環境はいい。でも、生活をゆっくりと楽しむには田舎がいい。春は新緑と桜。緑が段々と濃くなる夏。秋は紅葉もきれい。雑木林の落ち葉を踏みしめる感触などはたまらない」と西村さん。愛犬リンリンとの散歩が日課。「雨が降ろうが雪が降ろうが、散歩は欠かせないんです。」とにこやかに話す。
医食に加え、農業と環境も大切
西村さんは、人間の健康を成すキーワードとして医食同源に「農」「環」を加えた「医食農環同源」を掲げる。人が安全・安心の食料を口にするためには、農業が担う役割は大きく、人の生活を育む環境も重要であるという。身体に優しい農産物を口にするには都会より田舎の方が有利。豊かな緑がもたらす新鮮な空気ときれいな水、ストレスの少ない生活環境はもちろん、人の健康には、住まいも大切であるとする。
住まい選びも重要
東御市は高冷地にあり、冬はしんしんと冷える。訪問診療ではこたつに入って縮こまっている人たちを目の当たりにした。暖房している部屋は暖かくとも、廊下やトイレが冷え切っている家ばかり。西村さんはどういう住まいにしたらよいものかと雑誌を読みあさり、住宅展示場をあちこち見て回った。そして行き着いたのはホクシンハウス(本社・長野県飯綱町)だった。同社独自の「FB工法の家」は外断熱工法で、床下においた暖房機が家全体を均一にあたためる。「輻射熱に包まれ実に心地いいんです」とご夫妻。
若い人にこそ勧めたい
西村さんは田舎暮らしについて、「田舎暮らしを実現しようと思っても、職業や子育ての面から制約があり、普通は定年まで待とうとなってしまう。今の若い医師たちは、大都会の大病院に勤める人が多いが、若い人たちにこそ田舎暮らしを勧めたい」と話してくれた。
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