環境との共生を家造りで追求する・・・・北信商建
長野市郊外の飯綱高原。志賀高原の山々から長野市街地まで一望できる一角に、北信商建株式会社の、体験宿泊を兼ねた、相澤英晴社長のアトリエはあった。
「本当はお客様に、ホクシンハウスの良さを実感してもらうために建てたんですが、自分が住みたくなっちゃって」。そう照れながら「でも、自然のなかで寝起きするようになって、環境を守ることの大切さをますます強く感じるようになりました」。相澤社長は言う。


PROFILE 北信商建株式会社 代表取締役社長 相澤 英晴
1955年、上水内郡三水村生まれ。長野工業高校を卒業後、地元の建設会社勤務などを経て77年に独立、翌年法人化。99年から代表取締役社長。注文主だけでなく協力業者、社員も「家造りの感動を共有したい」と、機関誌「ぽんちゃん通信」を発行。さらに環境の事を子供達に教えたいと「エコ犬ポンタの大冒険」という絵本を出版し、県内の小学校に寄付をするなど、住宅営業だけでなく、環境の啓蒙活動にも力を入れている。46歳。

 同社は、太陽熱の効率的な利用システムを取り込んだ「環境共生住宅」をはじめ、エネルギー消費の少ない、環境に優しい住宅づくりで注目を集めている。しかしそれは、当初からめざしていたというより「“快適な住宅”とは何か、とことん追求してきた結果」と相澤社長は言う。
 断熱、気密、換気、暖房 。快適な住宅を実現するには、この四つの基本性能を同時に満たすことが必要だ。特に信州のような寒冷地の場合はそうだ。
 一見、相矛盾するように思える四条件。同社は88年、独自にFB工法を開発し、それをクリアした。
 家全体を断熱材ですっぽり覆う「外断熱」によって高断熱高気密を実現。他方、外気を床下に取り込み、壁全体の通気層を経て室内に送り、排気することで、家の中は常に新鮮な空気でいっぱい。その床下に暖房機を置けば、それだけで家全体が暖房できる。全国で初めて国内最高ランクの認定を受けた気密住宅は、優れた省エネ構造でもある。

 「このFB工法で充分だと思っていた」(相澤社長)。しかし“環境の時代”はさらなる取り組みを求めた。「太陽熱を利用した家を造りたい」という客の声に押され、同社も研究に着手。九二年、FB工法にソーラーシステムを組み込んだFBS工法を開発した。
 屋根と一体に設置されたソーラーパネルで不凍液と空気を暖め、不凍液は給湯に、空気は暖房に、それぞれ循環させて活用する方式。「山口県のお客様の場合、給湯と暖房にかかる費用は年間二万円弱」と相澤社長。FBS工法はソーラーハウス認定を取得し、さらに省エネ住宅賞も受賞した。
 「もっと普及させるために、より簡単でコストのかからない方式にできないか」(相澤社長)。その工夫の結果がFBソーラーだ。
 FBS工法のうち不凍液だけを循環させ、主に給湯に利用する。が、不凍液の循環を床下のパネルヒーターに切り替えれば、暖房にも使える。
 「この方法で、給湯に必要なエネルギーの八割は賄える。しかもイニシャルコストはFBS工法の六割(百五十万円)、給湯システムだけなら四割弱(九十万円)で済む」と相澤社長。あとは立地条件や必要度、資金に応じて設備を選べばいい。
 FBソーラーは九九年、建設省の外郭団体「住宅・建築省エネルギー機構」から初の「環境共生住宅」の認定を受けた。県内では同社のみ。全国では二十社余が認定されたが、相澤社長は「施工実績はうちがトップ」と胸を張る。

 みんなで地球を守ろう!。FBソーラーのキャッチコピーには「住宅づくりを通じて環境に貢献する」という自負が込められている。
 折しもFBソーラーを売り出したころ、冬の日本海でロシアタンカーが沈没し、大量の重油が流出する事故が発生。相澤社長を先頭に、同社の社員と協力会社は総出で重油回収ボランティアに向かった。
 「“環境”と口で言うだけじゃだめ、実行しなくちゃ。そういう自覚にもつながった」と相澤社長。その経験があるからこそ、環境共生住宅の普及に一層力が入るのだ。
 この連休に合わせてエムウエーブ(長野市)近くにオープンした同社展示場の住宅は、エアコン一台で家全体を冷やせる冷房システム、自然換気システムなど新しい提案がいっぱい。しかも、実際に注文のあった「こだわりの家」の満足感まで再現している。
 「お客様の夢を実現する、快適でしかも環境と共存できる住宅のために、もっとレベルアップしていきたい」。相澤社長は次のステップを見据えている。

2001年4月29日
信濃毎日新聞
アクティブ「環境特集」掲載