 |
 |
 |
|
 |
「生活熱と太陽熱で暮らせたら…」という夢のような住宅を構想してから早くも3年の月日が経ちました。全国でも先駆けて建築した「FBソーラー無暖房住宅実験展示棟」も山下先生との共同研究のもと、年間を通じて性能測定をおこない、冬は特別な暖房機を使用することなく18℃以上を維持し、また夏季においても日射遮蔽や夜間の冷気をうまく取り込むことで、冷房エネルギーも一般住宅と同程度になることが実証されました。
ここでは2006年の冬から「FBソーラー無暖房住宅」に実際に住まわれている古越様邸の測定結果について報告させて頂きます。 |
|
 |
|
 |
建設場所は軽井沢町の西隣に位置する御代田町で厳寒期には外気温が-10℃以下に冷え込む地域です。延べ床面積は約90uの木造平屋建てで、夫婦二人でお住まいになられています。外壁や天井の断熱材は古新聞をリサイクルしたセルロースファイバー400mmを密に吹き込んでおり、断熱性能は次世代省エネ基準の 地域の1.9W/u・Kに対して0.94W/u・K、気密性能はC値が0.3cm2/uです。窓は木製サッシトリプルガラスを使用しています。また屋根面にソーラーパネルを設置し、給湯および暖房補助に太陽熱を利用しています。
実験棟では暖房機を設置せずに測定をおこないましたが、実際に生活する場合、居住者による体感温度の違いや天候不順、生活スタイルによって内部発熱が足りず設定温度まで達しない場合があるため、床下に暖房機を設置し必要に応じて運転する方法としています。
|
|
 |
 |
 |
| 図2が冬季の室内温度18℃、夏季の室内温度27℃にした時の冷暖房費のシミュレーション結果です。冬季は灯油を燃料とした暖房機を使用すると仮定し、灯油代を95円/Lで計算しています。1月をみますと次世代省エネ基準の建物で暖房費が約14,000円掛かるのに対し、無暖房住宅では約3,000円、ソーラーによる発熱量を入れるとゼロとなっています。また年間の冷暖房費をみても次世代省エネ基準の10分の1で済んでしまいます。 |
|
|
| |
| 冬季は2007年2月19日から3月11日、夏季は7月28日から8月31日において、リビング、廊下、床下(ソーラー放熱パネル上部、温水ルームヒーター周辺)、外気温の測定をおこないました。 |
|
 |
 |
 |
 |
 |
図3は2月25日から26日の測定結果です。外気温が朝方−5℃まで下がっていますが、室内温度は20℃前後で一日中ほぼ一定であることがわかります。この住宅では、床下に灯油式の温水ルームヒーターを設置していますが、この二日間はまったく使用せず、ソーラーによる放熱だけで暖まっていることがわかります。また冬季の3週間の測定では、実際に床下の暖房機が稼動していた時間帯は僅か45時間で、一日当り約2時間の暖房で家中が暖まっていたことになります。
図4は8月20日から21日の測定結果です。室内温度はエアコンなしで27.5℃以下であり、日射遮蔽や夜間に冷気を取り込むなどすることによって室内温度が異常に上昇することを防ぐことができます。
表1は一年間の電力量と灯油使用量(灯油タンクに追加した量)です。給湯はソーラーで暖められた不凍液を370Lのタンクで熱交換をおこなうシステムで、補助熱源として灯油ボイラーを設置しています。表をみますと、給湯と暖房で使用した灯油量が年間で約200Lであり、化石燃料をほとんど使用しない超省エネECO住宅であることがわかります。
実際に生活している住宅での測定結果をみますと、実験棟で得られた結果と同様で暖房エネルギーの消費を大幅に抑えることができ、断熱性能を上げたことによる冷房エネルギーの増加はほとんどみられないことがわかります。また家庭での消費エネルギーの約3分の1を占めていると言われている給湯エネルギーに関して、太陽熱を利用したシステムが有効であり、断熱性能アップによる暖房エネルギーとあわせて家庭で消費するエネルギーの大幅な削減に至ったものと考えられます。
この住宅はテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」において究極の省エネ住宅として取り上げられました。『住宅以外の製品では新しい物をつくると省エネになっていくが、住宅に関しては製品開発が進んでも省エネにはなっていない。造る時から地球環境に配慮し、暖房・給湯エネルギーがほとんど掛からないこの住宅こそ究極の省エネ住宅であり、これからの地球環境を考えた時に快適な暮らしとCO2削減に大きく寄与する住宅』として取材を受け、全国に大きな反響を呼んでいます。
また、古越様も「建てる際に新聞紙をリサイクルした断熱材を使用し、住んでからも燃料代がかからないなど地球環境への負担も最小限で、なおかつ家中暖かくて快適な暮らし」に大変満足を頂いています。 |
|
 |
表1 電力消費量と灯油使用量 |
| |
電力量(kWh) |
灯油追加量 |
| 2007年2月 |
386 |
|
| 3月 |
335 |
|
| 4月 |
309 |
|
| 5月 |
270 |
|
| 6月 |
207 |
|
7月 |
230 |
|
| 8月 |
259 |
100L |
| 9月 |
235 |
|
| 10月 |
203 |
|
| 11月 |
271 |
|
| 12月 |
350 |
|
| 2008年1月 |
437 |
96L |
|
|